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弁護士の古林です。
近年、「フリーランス」という言葉がWebや新聞紙上で、よく見かけるようになりましたが、令和6年11月1日、フリーランス業者の保護を目的とした新しい法律が施行されました。「フリーランス・事業者間取引適正化等法」とよばれています。
ここでいうフリーランスは、簡単にいうと個人で仕事を受け、お金を受け取る場合を指します。法人を設立していても代表一人だけで仕事をしていればフリーランスです。
フリーランスに発注する業者は、特に以下の点に注意が必要です。
・取引条件の明示(3条1項)
取引条件を書面またはメールなどで明示する必要があります。この明示は「直ちに」と指定されており、委託と間を置かずに提示しなければなりません。
・報酬の60日以内の支払(4条1項)
フリーランスの業務終了後、60日以内のできる限り早い時期に報酬を支払うことが求められます。成果物がある場合、検収合格前であっても、引き渡された時点から、この60日はカウントされます。
また、1ヶ月以上の業務を委託した場合の禁止行為が7つ規定されました(5条)。
具体的には、発注時に定めた報酬を減額する、発注に際して買い叩きを行う、委託にあたって不当な利益供与を求める、購入等を強制する、成果物の受領を拒否・返品する、委託後に給付内容を不当に変更する、といった行為です。
さらに6ヶ月以上の業務委託をした場合、育児や介護等などと業務を両立できるよう、申し出に応じて、納期の調整や、在宅やオンライン業務に切り替えたりするなどの配慮が求められます(15条)。また、中途解約や更新の拒絶については、30日前までに予告し、求められた場合にはその理由も開示する必要があります(16条)。
このほか、フリーランスも、一定の場合には、労災保険に加入することができることとなりました。
注意が必要なのは、フリーランス業者と長期間契約する場合です。この場合、フリーランスでありながらも、他の従業員(労働者)と会社で机を並べて業務をしていることもあるでしょう。この場合に、うっかり、従業員のつもりでシフト管理や退勤管理を行ったり、契約外の業務を依頼したりすると、偽装フリーランスを指摘されたり、雇用契約が締結されているとみなされる恐れがあります。ご注意いただきたいところです。
この他にも、ハラスメント対策や、募集に当たっての表示など、気をつけるべき点があります。すでにフリーランスと契約されている企業も、今後、活用を検討されている企業様も、一度、当事務所まで、ご相談ください。