末広です。
10月6日,市民法律講座の講師として,離婚問題の回を担当させていただきました。
講座では,離婚の概要について,これまで扱ってきた事件の経験も踏まえ(守秘義務の範囲内で)お話しをさせていただきました。
普段の法律相談においても,離婚のご相談をよくいただきます。離婚相談の中で多いのは,「別居や離婚を考えているが,相手からいくらもらえるのか」という経済面のご相談です。別居・離婚後は,婚姻費用(離婚後は養育費)を除いて,基本的にはご自身の収入だけで生活をしていくことになるのですから,一番大事なことですよね。
もらえる金額や財産については,ある程度の資料を見せて頂ければ,おおよその予想をすることが可能です(そのとおりになるとは限りません)。ですが,それがいつ支払われるのか,というのは全くの別問題です。ですから,私が,強調してお伝えするのは,万が一,相手方(配偶者)からの支払いが途絶えたとしても,自活できるだけの生活基盤を整えてください,という点です。
別居中についていえば,別居中もご夫婦である以上,お互いに扶養義務があり,これに基づいて婚姻費用の分担(平たく言えば生活費の支払い)を求めることが出来ます。ですが,それは法律の定めに過ぎず,相手方が,それを当然に支払ってくれるとは限りません。支払ってくれない場合は,婚姻費用分担請求調停を申し立てるなどして,支払いを求めることになりますが,現実にお金を受領するまでには,数か月以上の時間がかかります。ですから,おひとりで支えられる生活の基盤がないまま,離婚に向けて動き出してしまうと,この点で思わぬ落とし穴にはまってしまうことにもなりかねません。離婚のご相談に際しては,その点もよく考えて頂き,今後の方針を決めて頂くようにしています。
それにしても,法廷で発言するのと,教室の前に立って話すのでは全然違いますね。弁護士登録直後は,法廷で「陳述します(あらかじめ提出した書面を法廷の場で陳述したことにしてしまう魔法の言葉)」「お受けできます(次回の日程調整に際して,出頭できます,という意味で使うもったいぶった言葉)」と発するだけでも緊張して,人前で話す方が楽だわ・・・,なんて思っていたのに,いつのまにか逆転していたようです。
最後になりますが,当日,私の話を聞いてくださった受講生の皆様,ありがとうございました。
2016-11-11 |
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