弁護士を目指した原点
ーー藤田弁護士は、なぜ弁護士になろうと思ったのですか
藤田寛之(以下、藤田) 私の父は塗装職人でしたが、知識がないことで随分と悔しい思いをしています。終わった仕事の報酬を請求したところ、今はお金がないからと約束手形を渡されて、そのまま支払を受けられずに逃げられたてしまったり、無理な仕事を押し付けられて身体を壊すまで働く羽目になったり、といった具合です。
もともと私は弁護士になることは全く考えていませんでしたが、両親からそんな体験を聞いていました。たまたま法学部に入学したので、これも何かの縁だろうと思い、この縁を活かしてみようと考え、弁護士を目指しました
ーーすると、弁護士を意識したのは大学に入ってからなのですね
藤田 ええ、そのせいではないですが、20代を受験勉強に費やし、ちょうど司法試験制度の変革期で不合理なことも多く、受験を後悔した時期も正直あります(笑)。最後はこれで落ちたら司法試験はやめると決意して背水の陣を敷き、倒れる寸前まで行きながら(笑)、30歳で合格することができました
中小企業と高齢者の支援を通じて、社会に安心を届ける
ーー弁護士になってからは、どのような分野に取り組んでいるのでしょうか
藤田 私の原点は先ほどお話した両親の経験で、今であれば様々な法的手段を構じることができます。中小企業の方はこのような未払い事例や契約書トラブルで悔しい思いをされることが多いので、中小企業の方の力になりたいというのが私の思いです。
中小企業に元気がなければ雇用も維持されず、地域社会に活気が失われます。中小企業は社会の要です。持続可能な健全な企業活動であることを前提としたうえで、中小企業が活き活きと活動できるよう、商工会議所等の地域団体や税理士・社会保険労務士・税理士などの各種士業とも協働し、中小企業を支援しています。この業務を通じて社会に貢献することが、自分の使命です
ーー主な顧問先を教えて下さい
藤田 業種としては、相模原という土地柄から、建設業・不動産業・運送業が多いです。また最近は高齢者・障がい者施設も増えてきました。その他には人材派遣業・製造業・解体業・飲食業などですね。
顧問先様との関係では、契約書チェックや、取引先トラブル・労務トラブルなどの対応が多いですが、最近はM&Aに関するご相談がかなり増えてきました。 顧問先様には、トラブルを「事前に防止する」ことで後顧の憂いなく事業活動に邁進して頂けるよう、心掛けています。
ーー他に、重点的に取り組んでいる分野はありますか
藤田 弁護士になってから、高齢者関係の仕事を多く手掛け、経済的虐待の事案などを現場で担当してきました。
これから日本は長寿・高齢化がどんどん進みます。報道などでは高齢化の負の側面が語られることが多いですが、普通に考えて、寿命が長くなることが悪いニュースのわけがないんですよね(笑)。長寿化はグッドニュースに決まっています。
ただ、高齢になってからの財産管理の問題や相続の問題があるのは間違いありません。皆さんそこを心配されているので、その問題を弁護士として適切にサポートすることで、長寿命化を人々の恩恵に転換し、社会に安心を届けていたいです
Three Well-Beingの実現へ
ーー最後に、これからの法律事務所Sの方向性を教えて下さい
藤田 おかげさまで、弊事務所は成長を続けています。規模の大きさは追い求めてはいませんが、多方面からご信頼を頂き、結果的に成長を続けています。そして、様々なバックボーンの人材が集まり、切磋琢磨できるようになってきました。
個人的には、これから多くの後進を育てていきたいです。まだまだ自分自身が若造に過ぎないことは、自覚はしているのですが(笑)。
そして私の夢は、事務所設立50周年パーティーに、既に現役を引退した来賓として呼ばれることです。名球会みたいですね(笑)。その頃には80歳を超えていますが、それくらい永く社会に貢献する事務所としたいという思いを持っています
藤田寛之
昭和50年3月18日生まれ。相模原市立上鶴間小学校及び上鶴間中学校、神奈川県立麻溝台高校、早稲田大学法学部を卒業。平成17年11月に司法試験合格。
弁護士として中小企業や高齢者の支援を多く手掛け、関連する各種公職を歴任する一方で、「地域の活性化なくして個人の活性化なし」の考えのもと、青年会議所や相模原ロータリークラブで理事として、また中学校PTA役員として、地域活動にも積極的に関わる。
歴史好き・剣道二段と、伝統的なものを好む一方で、先端技術や宇宙開発・脳科学などにも強い関心を抱くが、本人曰く最もエキサイトしているのは、横浜Denaベイスターズの試合観戦中である。
座右の銘は、竹刀袋にも刻んでいる「前後際断」。